面白さはどう生まれる?『面白い!のつくり方』からわかったこと
- のろ
- 8月21日
- 読了時間: 4分
はじめに
私を含め、「面白いこと」を表現することに自信を持てない人は少なくないと思います。
一方で日常生活の中では、声を出して笑うほどでなくても「面白い」と感じる瞬間に出会うことは珍しくありません。
自分では面白さを感じているのに、いざ表現しようとすると途端に難しくなる。
おそらく、意識的に「面白いこと」を実践する機会が少なく、面白さの仕組みについて考えた経験があまりないことが原因なのではないでしょうか。
そんな「面白さ」の法則を探るために、今回はCEメディアハウスから2019年6月に発行された、岩下智の『「面白い!」のつくり方』を読んだのでまとめてみました。
面白いとは
本書では「面白い」とは、人を惹きつける何らかの魅力がある状態と定義されています。
さらに、「面白さ」には個人差があることも重要な前提です。
面白さは「好み」に近い価値基準であり、受け手によってその価値は異なるという点を、常に意識しておくことが大切です。
面白さを感じるきっかけとなるエネルギーは「好奇心」です。
ある事象に「興味」や「関心」を抱いたとき、受け手の好奇心は刺激されます。そして、その好奇心が満たされたとき、人はその事象を「面白い」と感じるわけです。
この好奇心に個人差があるため、「面白さ」の大小や幅に違いが出てきます。

面白さの種類
面白さにはいくつかの種類があり、「感じ方」と「度合い」の2つの軸で整理できます。

<感じ方>
共感
“同質”であることに面白さを感じるタイプです。
内輪の集まりなどで盛り上がるのが典型で、共通の知識や経験が前提となります。そのため、全く異なる環境やバックボーンを持つ人には伝わりにくい傾向があります。
例:時事ネタ、例え話、あるある など
差別
“異質”であることに面白さを感じるタイプです。
意図的に比較し、その差を楽しむものを指します。
ここで重要なのは「差の方向性」で、上振れした差はポジティブに働きますが、下振れした差はネガティブな印象を与えやすいため注意が必要です。
例:ギャップ、誇張、タブー など
<度合い>
笑える面白さ
ある要素に対して、くしゃみのようにこらえきれず笑いがこぼれてしまうタイプです。
多くの場合、瞬時に意図を理解できるものがこれに含まれます。
例:ギャグ、ダジャレ、皮肉 など
趣がある面白さ
最初は何とも思わなくても、徐々に面白くなってくるタイプです。
複雑な要素であっても、意図が理解できた瞬間に「面白い」と感じられます。
例:巧妙、未知、シュール など
面白いのつくり方
面白いものを生み出すまでのプロセスは、次の5ステップに整理できます。
「余裕」を持つ
「面白がる」という行為には、心の余裕が欠かせません。
まずは日常の中に「遊び心」を取り入れ、より多くの刺激を受け取れる準備を整えましょう。
「よそ見」をする
面白さのきっかけは好奇心です。
余裕ができたら視野を広げ、さまざまな物事に関心を向けてみましょう。
「観察」する
関心を持った対象を客観的によく見て、特徴的な要素を抽出します。
「法則化」する
抽出した特徴から「AをBすると面白くなる」といった関係性を見出します。
法則にできれば応用や再利用が容易になります。
「表現」する
見つけた法則を使って、さまざまなアプローチで相手に伝えます。
①〜④が「インプット」、⑤が「アウトプット」にあたります。
つまり、面白さを生み出すには、表現以上にインプットの積み重ねが重要であることがわかります。
面白い表現とは
アウトプットするときの具体的なポイントを整理します。

「表現」とは「コミュニケーション」そのものであり、「何をどのように伝えるか」に尽きます。まずは対象を提示したときに、ユーザーに“何を”感じ取ってほしいのかを明確にしましょう。
次に、「対象にどのような魅力を付加するか」を考えます。
このとき役立つのが「法則化した面白さ」です。対象にさまざまな法則を当てはめ、最もしっくりくるものを選びましょう。
さいごに、「それをどのように伝えるか」を検討します。
予定調和に陥らない程度に、元ネタとの「関連づけ」を示すのは効果的です。ユーザー自身がその関連に気づいたとき、面白さを感じやすくなります。
ただし、露骨すぎると逆効果になりがちです。そこで、あえて視点をズラすなどの工夫を加えることで、表現により大きな魅力を与えられます。
さいごに
「面白い」という概念について、とても分かりやすく解説された一冊でした。

重要なポイントは適度に抽象化され、実践的な部分は丁寧に具体化されている——まさに理想的なバランスです。
淡々と事実を語りながらも、ところどころに著者の主観がほのかに混じっており、私が理想とする文章のあり方に近いと感じました。