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『ビジョナリー・カンパニー』を読んで分かった基本理念の大切さ

  • 執筆者の写真: のろ
    のろ
  • 3 日前
  • 読了時間: 4分


はじめに

中小企業で働く多くの人が、自分の勤める会社に対して何かしらの不満を抱えているのではないでしょうか。私もその一人です。うまくいっている組織と何が違うのか、自社には何が足りないのか、心底気になっています。


ただの一流ではなく、時代を超えて際立ち続ける超一流企業。「ビジョナリー・カンパニー」と呼ばれる企業には、どんな共通点があるのでしょうか。


今回は、1995年に発行された米国のロングセラー『ビジョナリー・カンパニー』を読んだのでまとめてみました。




一貫して基本理念を維持する

「一貫して基本理念を維持すること」が、本書の最も重要なメッセージだと言えるでしょう。

組織における基本理念とは、「私たちは何者で、何のために存在し、何を行っているのか」を明確にするものです。

その内容自体よりも、組織内でどれだけ信じられ、実践されているかが重要です。要するに、「その基本理念が本物かどうか」が最大の焦点となります。


基本理念の徹底

ビジョナリー・カンパニーは、自社の基本理念に強い執着を持っています。ときには、それを守るために一見非合理に思える判断を下すことさえあります。基本理念を脅かすような風土や慣習は迷わず排除する一方で、基本理念を損なわない限りは他の変化には柔軟に対応する傾向があります。




カリスマより仕組み

基本理念が本物かどうかは、経営者の選定にもはっきりと表れます。

ビジョナリー・カンパニーは、理念を深く理解し体現できる生え抜きの人材を育て、経営者として登用する傾向が強く、社外からの登用を好みません。


長く続く組織を目指すうえで、常にカリスマ的なリーダーをトップに据えるのは現実的ではありません。重要なのは、基本理念を守れる経営者が継続的に育ち続ける仕組みをつくることです。すなわち、時を告げる人を頼りにするのではなく、時を刻み続ける「時計そのもの」をつくる発想が求められます。


優れた仕組みの構築

こうした仕組みを備えた組織こそが、ビジョナリー・カンパニーと呼ぶにふさわしい存在だと言えるでしょう。




大胆な目標を恐れない

組織が良い方向へ進んでいくためには、道しるべとなる明確な目標が必要です。

目標が大きければ、その分リスクも伴います。しかし、夢に満ちた大胆な冒険だからこそ、人々を惹きつけ、強力な推進力となります。


目標を設定する際のポイントは、以下の3点です。

  1. 基本理念に沿っていること

  2. 具体的で焦点が定まっていること

  3. 外的要因ではなく、内発的な意志から生まれていること


目標とは、未達成であるときにこそ力を発揮するものであり、達成された時点でその役割を終えます。したがって、一つの目標を達成した後は、次の目標を定めなければ、組織は停滞してしまいます。

停滞は、ビジョナリー・カンパニーにとって許されない状態です。たとえ現在が順調であっても、常に進化を志す意欲を持ち続ける者だけが、次なる成果を手にすることができます。




ORではなくANDの精神

「二兎を追う者は一兎をも得ず」ではなく、「二兎を追って、どちらも得る」がビジョナリー・カンパニーの考え方です。


短期的にも収益を上げ、長期的にも成長を続ける。

利益を確保しつつ、基本理念を守り抜く。

一見すると相反するようなこの発想を、歴史に名を残す偉大な企業は特別なことだとは考えていません。


彼らにとって利益は、人間にとっての酸素や食料であり、それがなければ生きられない当たり前のものです。必要不可欠ではあるが、決してそれ自体が目的になることはありません。このような考え方こそが、組織を強く、持続可能なものへと育てていきます。


ORではなくANDの精神



誰にとっても働きやすい職場ではない

最後に、前向きなメッセージだけでなく、現実的な側面にも触れておきましょう。


ビジョナリー・カンパニーは、基本理念に深く共感できる人にとっては理想的な環境ですが、そうでない人にとっては居心地の悪い、時に過酷とも言える職場です。


基本理念がまるでカルトのように組織全体に浸透しているため、その価値観に共鳴できない、あるいは歩み寄ろうとしない人には、極めて厳しい環境に映ることでしょう。




さいごに

本書は、各企業の具体的な事例や豊富な付属資料が掲載されているため、ページ数は多めですが、内容自体は一貫しておりシンプルです。

そのメッセージを端的にまとめると、超一流企業の共通点は「基本理念の徹底」「優れた仕組みの構築」「常識にとらわれない大胆な目標設定」の3点に集約されます。


ビジョナリー・カンパニーの超要約

また、著者は冒頭で「データはあくまでデータであり、本書の内容を鵜呑みにするのではなく、自らの意思で判断してほしい」と述べており、その率直な姿勢にも好感が持てます。




参考サイト

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