SNS運用の成果を左右する“ファン”と“戦略”の作り方
- のろ
- 8月9日
- 読了時間: 7分
はじめに
私はしがない印刷会社に勤めています。
情シス部門からデジタル新規事業部門に異動となりましたが、入社以来、一度も印刷部門に所属したことはありません。
新規事業を進める中で、多くの企業が直面する課題の一つに、「新規顧客からなかなか受注が得られない」という問題があります。現在、私の部署もまさにその壁に直面しています。
その解決策として、安直な発想かもしれませんが、SNSの運用を検討しています。SNSを活用して認知度を高め、新たな顧客との接点をつくることで、将来的な受注につなげていきたいと考えています。
そこで今回は、SNS運用のポイントを学び、より効果的な成果を得るために、『SNSマーケティング7つの鉄則』と『SNSはキーワードが9割』を読み、その内容から学んだことをまとめました。
SNSとは
SNSを包括する概念として、「ソーシャルメディア」があります。
ソーシャルメディアとはその名の通り、インターネットを通じて、社会的・双方向的な情報発信ができるメディア全般を指します。
今や、組織・個人を問わず、誰もが手軽に情報を発信できる時代です。
だからこそ情報の総量が増え、一つ一つの情報の価値は相対的に下がっているとも言えます。
多くの人がソーシャルメディアを利用する根本的な理由は、「自分の欲を満たす情報と出会いたい」という人間の本能的な欲求にあります。
つまり、人々はSNSという溢れかえる“情報の海”の中で、自分にとって都合の良い情報を求めて彷徨っています。
マーケティングから見たSNSの役割
明確な計画がないままSNS運用を行っている場合、SNS単体で戦略を設計してしまっているケースがほとんどです。しかしSNS運用は、あくまでマーケティング全体の施策の一部であり、他の媒体とどのように連携させるかを設計することが重要です。
SNSだけで完結させず、他チャネルとの一貫性や役割分担を意識する必要があります。
ここで、顧客の行動プロセスを示す「マーケティングファネル」を用いて、SNSが得意とする領域を整理してみましょう。

まずは「認知」が何よりも重要です。
「認知」や「興味・関心」の段階では、量とスピードが重視され、リアルタイム性が効果を発揮するため、SNSは非常に有効な手段となります。
一方で「検索」以降のフェーズでは、正確で詳細な情報が求められるため、自由度の高いWebサイトの活用が効果的です。SNSのフォーマットでは伝えきれない部分を補う役割を担います。
なぜ認知されないのか
無計画に投稿を重ねても、なかなか成果が出ないことはよくあります。
その主な原因は、自分自身を表現する「言葉(キーワード)」が定着していないことにあります。
投稿の中に、自分らしさを表すキーワードを盛り込むことで、その言葉が検索に引っかかるようになります。さらに、そのキーワードを継続的に使い続けることで発見される機会が増え、徐々に認知が広がっていきます。

キーワードを選定する流れは以下の通りです。
「書き出す」
自分を表すワードやよく使う言葉をできるだけ多くリストアップします。
「絞る」
候補が多く出てきても、最大3つ程度に絞ることがポイントです。
キーワードが多すぎると軸がぼやけ、効果が薄れてしまいます。
「定期的に見直す」
運用の目的やターゲットが変われば、キーワードも見直しましょう。
中でも一番重要なステップは「絞る」です。
特に「“今”にフォーカスする」「ターゲットを限定する」これらのことを意識してキーワードを選びます。
ゼロから認知を得る段階では、広く届けるよりも、狭く深く届けることの方が効果的です。勇気を持ってキーワードを絞り込むことが、ブレない発信につながります。
SNSはファンビジネスである
「ソーシャルメディア」という言葉が示す通り、SNSも立派なメディアの一種です。
そのため、SNSでの情報発信は、タレントの活動と同じく“メディアビジネス”として捉えることができます。
このメディアビジネスは、“ファンビジネス”と深く結びついています。
当然ながら、ファンが多いタレントほどメディアを通じた影響力が高く、ビジネスとしても成果を得やすくなります。逆にファンが少なければ、どれだけ発信してもその効果は限定的です。
つまり、SNS運用においては「どれだけファンを獲得できるか」が成果を左右する大きな要素となります。
ファンを獲得するための3つのポイント
有益性:受け手にとって「自分の得になる」と感じられるか
応援したくなる要素:努力や姿勢に対して「支えてあげたい」と思えるか
共感性:受け手が「自分と重ねられる」と感じられるか
中でも特に効果的なのが、「相手が期待できるストーリーを持たせること」です。
たとえば、「弱い立場にある人物が、数々の困難を乗り越えて夢を叶える」このような少年マンガの王道ストーリーは、まさに多くの人が共感し、応援したくなる構図です。だからこそ、今もなお幅広い層に愛され続けています。
ファンが情報拡散する構造
テレビや新聞といったオールドメディアは、「1対多」の情報発信が基本でした。
一方、SNSをはじめとするソーシャルメディアは、「多対多」の情報発信を前提とした媒体です。
そのため、従来主流だった「いかに自分がバズるか」ではなく「いかに自分のファンをバズらせるか」という視点が新たに重要になります。
自らが積極的に情報発信をしなくても、ファンの発信が呼び水となって新しいファンを呼び込む構造を作れれば、理想的な好循環が生まれます。
ファンに情報発信を促すには、
どんな情報を拡散してほしいか
どんなコミュニティを形成していきたいか
ファンやコミュニティとどう関わるか
といった方針をあらかじめ設計し、その実現に向けて着実に行動していく必要があります。

残念ながら、ファン化が難しいコンテンツも存在します。
商品やサービスが無形である
コンシューマー向けではない
こうした「日常会話に登場しにくいコンテンツ」は、SNSを活用してもメリットを得にくい傾向があります。
SNSをやらないという戦略
ここまでSNSの存在価値や戦略について述べてきましたが、場合によっては「SNSはやらない」という選択も有効です。
SNSでファンを集めるには、それ相応のリソースを投じる必要があります。業務の片手間で無計画に運用して、成果が出る世界ではありません。
「毎日投稿」「動画コンテンツの活用」「社員インフルエンサーの育成」といった施策を実行して、ようやくスタートラインに立てるのが現状です。
明確な目的がない場合や、他に優先すべき事案がある場合は、中途半端に着手するよりも「やらない」と割り切る方が賢明かもしれません。
さいごに
どちらの書籍も、想像以上に具体的な施策が書かれており、すぐに実践に移せる内容となっていました。もっと抽象的な話が中心かと思っていたため、驚かされました。
なかでも「よく練って設計したマーケティングでなければ効果は出にくい」という点は、両書に共通する最も基本的なメッセージだと感じました。
当たり前ですが、闇雲に投稿を続けるだけで成果が出るような甘い世界ではないということです。
また、どちらの書籍でも「ファンの重要性」が強く説かれていた点が印象的でした。ただのフォロワーではなく、「自社の成果物に関心を持ち、前向きな行動を取ってくれるファン」の存在こそが重要だとされており、ビジネスにおけるSNS運用の最終的なゴールは、そうしたファンの創出であることがよくわかりました。