なぜ人は動くのか? カーネギー『人を動かす』は絶対に読むべき一冊
- のろ
- 1月15日
- 読了時間: 6分
更新日:8月7日
はじめに
人間社会で生きていく上で、人とのコミュニケーションは避けて通れません。年齢を重ねるにつれて、権限を持つ立場になったり、支えるべき存在ができたりと、コミュニケーションの重要性はますます高まります。
最近、「本当にこの大人たちついて行って問題ないのか?」「このまま年を重ねたらこんな風になるのか?」と不安を感じます。そこで、超メジャーなビジネス書籍を読んで、彼らがいる現在位置と理想像でどこまで違っているか検証してみたくなりました。今回はその第三弾。
人に何かをお願いしたい、つまりは人に動いてもらいたい場面で、あなたはどのように行動するでしょうか。今回は、1936年の出版以来、現在に至るまで「人間関係の教科書」として世界中で愛されているデール・カーネギーの「人を動かす」を読んだのでまとめてみました。
人を動かす三原則
「人を動かす三原則」は以下の通りです。
批判も非難もしない。苦情も言わない
率直で、誠実な評価を与える
強い欲求を起こさせる
人を扱う際、相手を「論理の動物」と考えてはいけません。相手は「感情の動物」です。多くの人は、他人からの非難を素直に受け取ろうとしません。非難されることで感情が傷つき、その結果、肝心の内容が頭に残らないからです。カーネギーは「叱る行為には意味がなく、ただ自分の気持ちが晴れるだけ」と述べ、「相手を否定してはいけない」と説いています。
人の心にとって最も大切な栄養素は、他人から認められることです。人は「重要人物でありたい」という欲求を持っており、これを満たすことが人を動かす最も重要な要素です。そのため、なるべく「愚行を叱るより、善行を賛える」ことを心がけ、誠実な評価を与える必要があります。

人の行動は、「何かを欲しい」という欲求から生まれます。この欲求が根源的な原動力と言えます。相手を動かしたいのであれば、その人が何を望んでいるかを理解し、それを手に入れる方法を示すことが効果的です。相手に欲しいと思わせ、その原動力を刺激することが重要になります。
人に好かれる六原則
「人に好かれる六原則」は以下の通りです。
誠実な関心を寄せる
笑顔で接する
名前を呼ぶ
聞き手になる
相手の関心を見抜く
心から賞賛する
人は、自分に関心を寄せてくれる相手に自然と関心を抱きます。相手の話を遮らず、純粋な興味を持って聞き手に回ることは、相手に関心を示す最も効果的な方法です。相手が心から楽しめる話題を提供し、その内容に心からの賞賛を送るだけで、良好な関係を築くことができます。
聞き手になるのが難しい場合でも、「笑顔」で接するだけで、関心を分かりやすく伝えられます。また、相手にとって特別な意味を持つ「名前」を呼ぶことも、簡単かつ効果的に関心を示す手段の1つです。

人を説得する十二原則
「人を説得する十二原則」は以下の通りです。
議論を避ける
指摘しない
誤りを認める
穏やかに話す
イエスと答える問題を選ぶ
相手に喋らせる
思いつかせる
人の身になる
同情を寄せる
美しい心情に呼びかける
演出を考える
競争意識を刺激する
これまでに紹介した原則の通り、非難や苦情などの指摘を避け、相手の話を聞く姿勢を貫くことは、相手を説得する際にも有効です。
カーネギーは「議論に負けても相手の意見が変わることはない」と述べており、議論は避けるべきだとしています。人は自分の傷を他人に見せたがる傾向があり、その傷に同情を寄せることで信頼を得られます。「盗人にも五分の理」を認め、自分と異なる意見であっても、相手の立場に立ち、共感できる部分を探すことが重要です。

カーネギーはまた、「北風と太陽」の例を用い、穏やかに話すことの大切さを説いています。ただ単に事実を述べるだけでなく、その前後の状況を意識したり、伝え方に演出を加えたりすることで、説得の効果はさらに高まります。
さらに、人は「重要人物でありたい」という欲求を持っています。この欲求を満たす最も身近な方法は、他人と自分を比較し、自分の方が優れていると感じることです。そのため、多くの人は「他人よりも優れたい」という競争心を少なからず抱いています。この競争心をうまく刺激することで、相手を説得できる場合もあります。
人を変える九原則
「人を変える九原則」は以下の通りです。
まずは褒める
遠回しに注意を与える
自分の過ちを話す
命令をしない
顔を立てる
心から褒める
期待をかける
激励する
喜んで協力させる
これまで紹介した原則と同様、相手を否定せず、直接的な注意を避けることが重要です。まずは積極的に相手の長所を褒め、自分にとって替えの利かない存在だと伝えることで、相手の顔を立てましょう。また、「相手の能力を信じている」と示すことで、「重要人物でありたい」という欲求を満たすことができます。
さらに、小言を伝える際には、「自分も失敗が多く完璧ではない」と謙虚な態度で前置きすることで、相手が内容を受け入れやすくなります。
命令を出すだけでなく、相手に意見を求めることも効果的です。命令が出るまでのプロセスに相手を参画させることで、自らの意思が反映された形となり、その命令をより受け入れやすくなります。

幸福な家庭をつくる七原則
「幸福な家庭をつくる七原則」は以下の通りです。
口やかましく言わない
長所を認める
あら捜しをしない
ほめる
ささやかな心尽くしを怠らない
礼儀を守る
正しい性の知識を持つ
基本的な考え方は、これまで紹介した原則と同じです。相手を否定せず、長所に目を向けて褒めることが、良好な関係を保つためのコツです。「親しき中にも礼儀あり」ということわざがあるように、家族のように親しい間柄でも、気遣いを忘れないことが求められます。
カーネギーは「男性は自分を美しく見せようとする女性の努力をもっと称賛すべき」と述べています。その上で、「妻の幸福は夫の賞賛と愛情によって得られる。妻が十分に幸福であれば、それが夫の幸福も保証する」と説いています。

また、米国で「結婚カウンセリングの父」とされる優生学者ポール・ポピノー(Paul Bowman Popenoe)は、結婚が失敗する最大の原因は「性生活の不調和」であると指摘しています。
さいごに
本書はかなりのボリュームがありますが、具体例が豊富なため、どなたが読んでも理解しやすい内容になっています。全部で37の原則が紹介されていますが、すべてを実践するのは難しいでしょう。自分が納得できるものを選び、実行するだけでも、何らかの効果が得られるはずです。
カーネギーが伝えたかったことを簡単にまとめると、「相手を否定しない」「相手を褒める」「相手を頼る」という点に尽きると感じました。

全体を通して、「人とは何か」が分かりやすく解説されています。読んでいて腑に落ちない点はなく、自分の考えを明文化してもらったようで、とても爽快な読書体験でした。ぜひ、皆さんも手に取ってみてください。