ドラッカーの『マネジメント』から学ぶ。管理職の理想像
- のろ
- 2024年10月31日
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更新日:1 日前
目次
はじめに
職場にいる上司たちは、ただ若い人間より「長生きしているから経験が豊富」というだけの理由で、自分の方が優秀だと思い込んでしまう節があるように感じます。年月が経って部下が同い年なった際、現状の自分と比較してどれほど優秀なのか。また、どれほど優秀にしてあげられるのか。この視点を持っている人は極端に少ない印象を受けます。アドバイスや説教を聞いても全く心に響かないことが大半ですし、未来ではなく過去の話がメインなので聞いていて退屈です。
最近、「本当にこの上司たちついて行って問題ないのか?」「このまま年を重ねたらこんな風になるのか?」と不安を感じます。そこで、超メジャーなビジネス書籍を読んで、彼らがいる現在位置と理想像でどこまで違っているか検証してみたくなりました。今回はその第一弾。ピーター・ファーディナンド・ドラッカーの超名作「マネジメント」を読んだのでまとめてみました。
組織に属する「人」とは何か
本書はマネジメントに関することが書かれていますが、まずはその対象となる「人」とはどういったものなのでしょう。

組織における成果の質は「人の働きの質」に依存します。シンプルな考え方ですが、より良質な仕事をする人が多い組織が、より優れた成果を出すということです。組織が持っている資源の中でも異質で、違いを生みやすいのが「人」という存在です。では、どのように違いを生み出すのか。大切なのは一人一人が健全な意欲を持ち、成長していくことです。しかし、成長を目標にするのは意味がありません。最も重要なことは「成長して何を得たか」です。
また、ドラッカーは、「人は、優れているほど多くの間違いをおかす。新しいことを試みる」と言っており、続けて「間違いや失敗をしない者を信用してはならない」とまで述べています。
組織や企業はどうあるべきか
組織が存在するのは、世の中のニーズを満たすためです。利益を追求しなければならない企業であれば、その先に市場を生み出すことも目的となります。そして、「世の中は何を求めているか」を考えるマーケティング。常により良く新しい満足を生み出していくイノベーション。この2つだけが、組織の目的を果たすために成果をもたらす手段です。
ドラッカーは、①指揮系統が複雑。②大勢が参加する会議を頻繁に必要とする。③人の感情や好き嫌いに気を遣う。④常にどこかで組織改革を行っている。この要素を持った組織は悪い組織として、大いに改善の余地があると述べています。また、問題にばかり集中している組織は、昨日が黄金時代で、問題さえクリアすれば成果を挙げられると考えている保守的な組織とも言っています。
マネジメントとは何か

人は、賞され罰せられる事で自らの目的や役割を理解します。この仕組みをコントロールすることがマネジメントです。人の集合体である組織においてマネジメントは、人に成長を促し、働きに違いを生み、成果を創出するためになくてはならないものです。仕事が生産的に行われ、人が生き生きと働くことのできる環境こそが、マネジメントにおける成功となります。マネジメントの役割は、①成果を果たす。②一人ひとりを活かす。③社会に貢献するの3つです。
マネジメントの具体的な方法
人に働きがいを与えるには、①生産的な仕事。②フィードバッグ。③継続学習が不可欠です。この条件を満たさない限り、その組織の中で健全な意識を持ち、成長をしていくことは難しくなります。
仕事を生産的なものにするには、作業や手順を明らかにする「分析」。仕事を集め編成する「統合」。数値等で基準を設ける「管理」。仕事を効率良くするための「道具」が必要となります。
また、フィードバックを行う前提として、明確な目標設定が必要となります。組織全体の目標から引き出した、チームとしての成果を目標とし、それにどこまで近づいたのかフィードバックを行います。
リーダーの役割と素質
マネジメントする者の仕事は、①目標設定と評価測定。②コミュニケーションによる組織化。③人材開発となります。これを着実に行うことで、人が働きがいを感じ、チームとして結束し、成果につながる大きな働きになっていきます。
①強みより弱みに目を向ける。②何が正しいかより誰が正しいかで判断する。③素直さより頭の良さを重視する。④部下に脅威を感じる。⑤高い目標を設定できない人は、人を管理するリーダーの立場には向きません。

イノベーションとは何か
世の中は日々進化をしています。ITが発展し、情報を伝達するスピードが格段に向上している昨今。「変化すること」は社会で生き残るための最低条件です。しかし、いつの時代も変化は多くの人から敬遠されます。変化に対する抵抗の根底にあるものは「未知への恐怖」です。組織をイノベーションしたい場合、変化を「機会」と捉え、継続学習を組織全体の風土にすることが不可欠になります。
イノベーションをする際、予め期待することを考えておくことが重要です。実際にイノベーションに向けて動いた後で、その期待と得られた成果を比較しなければいけません。成果が期待を下回っていれば、「手を引くべきか、どのように手を引くか」を検討します。
イノベーションチームは、既存事業チームからは独立させなればいけません。イノベーションは、既存事業の型にはまった仕事の流れに囚われず、広い視野で改革を起こしていく必要があります。
さいごに
本書を読んだ一番の感想は、「意外と当たり前のことしか言ってないな」というものでした。ただ、何となく理解していても、実行できていないことは多いのではないでしょうか。おそらく、本書に書いてある項目でチェックリストを作っても、大半の人は半分程度の達成率な気がします。自分もいつか管理職という立場になると思うので、上司にあまり多くを求めすぎるのも酷だと感じますが、自分の現在位置とドラッカーが理想としているリーダーとの間にどれほどの距離があるのか。あまり過信しすぎないよう、これを肝に銘じて行動していく必要があるなと強く感じました。